2019年12月4日開催の翁久允賞選定委員会の選考により、以下の通り受賞者を決定し、贈賞式および記念講演会を開催致します。
受賞者: 長尾洋子氏、和光大学表現学部教授、横浜市在住
賞 金: 30万円
受賞理由:越中八尾民謡おわら保存会の創設者である川崎順二の残した未整理資料の特定や文献の目録化に協力した経験を活かし、新聞・雑誌、書簡など多くの資料を駆使して、おわら風の盆についての本格的な研究を行った功績。また、富山県の文化を民俗学・国文学・文化地理学にまたがる学際的な視野で捉え、近代ナショナリズムにおける「創られた伝統」研究の系譜上に、理論的かつ発展的に位置づけた功績。
翁久允賞選考委員: 久泉迪雄、八木光昭、木下晶、須田満
長尾洋子氏の経歴につきましては、下段をご参照ください。
<翁久允賞贈賞式および記念講演>
日時: 2020年2月16日(日曜日) 午後2時より
場所: 富山市立図書館本館3階 セミナールーム
住所: 〒930−0062 富山市西町5−1 TOYAMAキラリ内
贈賞式の後、富山市立図書館との共催で、長尾洋子氏の記念講演「越中おわら風の盆の地脈―民謡研究の動向と拡がり」が、同会場で開催されます。
また、講演会の後、図書館本館5階の特別コレクション室「翁久允文庫」の見学会が行われます。
※贈賞式への参加ご希望の方は、2月14日(金曜日)までに、当財団までお知らせください。
受賞者: 長尾洋子(ながお・ようこ)氏 1970年生まれ、横浜市在住。
【学歴】
1994年 お茶の水女子大学 文教育学部 地理学科卒業
1997年 ロンドン大学大学院 SOAS 開発学 修士課程修了(開発学修士)
1998年 お茶の水女子大学大学院 人文科学研究科 地理学修士課程修了(人文科学修士)
2018年 総合研究大学院大学より博士号取得(学術博士)
【職歴】
1998年 – 2002年 一橋大学大学院 助手
2002年 – 2010年 和光大学 表現学部 専任講師
2010年 – 2019年 和光大学 表現学部 准教授
2019年 – 現在 和光大学 表現学部 教授
【著書】
(単著)
2019年8月 『越中おわら風の盆の空間誌――〈うたの町〉からみた近代』 ミネルヴァ書房
(共著)
2017年9月 友原嘉彦編著 『女性とツーリズム 観光を通して考える女性の人』 古今書院
2017年4月 熱海温泉誌作成実行委員会編 『熱海温泉誌』 熱海市
2013年8月 おわらを語る会編 『おわらの記憶』 桂書房
2013年3月 塩崎文雄監修 『東京をくらす――鉄砲洲「福井家文書」と震災復興』 八月書館
2012年3月 細川周平編著 『民謡からみた世界音楽――うたの地脈を探る』 ミネルヴァ書房
2009年10月 神田孝治編著 『レジャーの空間――諸相とアプローチ』 ナカニシヤ出版
【主要論文】
2019年9月 「地域伝統芸能にまつわる物語、地域振興、マネジメント――「民謡おわらの街」八尾の事例から」:『観光学評論』 7巻2号, 155-167頁
2015年3月 「近代詩運動と民謡――大正・昭和初期における富山県の動向からさぐる地方性の現出」:『表現学部紀要』 15号, 154-132頁
2013年 6月 Folk Performing Arts, Community Life, and Well-being: Why Shishimai Matters in Toyama, Japan: Paragrana, Volume 22, Issue 1, pp.130-153
2010年3月 「『俚謡集』再考――うたの〈方言〉化とやわらかな統制」:『表現学部紀要』 10号, 86-97頁
2009年6月 「地域芸能の改造と博覧会的空間 ― 越中おわら節の振付をめぐって」:『人文地理』 61巻3号, 187-206頁